大判例

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福井家庭裁判所 事件番号不詳 審判

主文

相手方は、申立人が相手方の子であることを認知せよ。

理由

申立人の法定代理人は、主文同趣旨の調停を求め、その理由として、「申立人の母井上由子と相手方とは、昭和二十八年○月○日に式を挙げて事実上夫婦となり(ただし、その婚姻の届出は、未了)由子方で同居して内縁の夫婦生活を営み、間もなく由子は、申立人を懐胎したが、由子と相手方との内縁関係は、昭和二十九年○月○日ころ解消し、申立人は、その直後である同月○○日に出生した。申立人は、相手方の子であるから、相手方に対し申立人が相手方の子であることの認知を求めるために、本件調停の申立をしたと述べた。

相手方は、答弁として、「申立人がその主張のように相手方の子であることは、認める。ただし、相手方は、申立人が申立人の相手方に対する扶養請求権を放棄して、相手方に対し、扶養の請求をしないことを確約しなければ、申立人の認知請求に応ずることはできない。」と述べた。

それで考えるに、本件記録添付の戸籍謄本および戸籍抄本ならびに申立人が提出した母子手帳の各記載と当事者双方の各供述とを綜合すれば、井上由子と相手方とは昭和二十八年○月○日に式を挙げて事実上結婚し(たゞしその婚姻の届出は、未了)、由子方で同居して内縁の夫婦生活を営み、間もなく由子は、申立人を懐胎したが、右両名の内縁の夫婦関係は、昭和二十九年○月○日ころ解消し、由子は、その直後である同月○○日に申立人を在胎月数十ヶ月で分娩したことを認めることができる。

そして申立人は、敍上のように由子が相手方との内縁中に懐胎した子であるから、民法第七百七十二条第一項を準用して相手方の子と推定すべく、その推定を覆すに足る証拠は、何も存在しないが、上記認定事実と相手方が、申立人が相手方の子であることを承認している事情とを総合して考察すれば、むしろ積極的に申立人は、相手方の子であることを確認することができる次第である。

相手方は申立人に対して、扶養請求権の放棄方を求めているけれども、民法第八百八十一条は、「扶養を受ける権利は、これは処分することができない。」と規定している。したがつて申立人は、相手方に対する扶養請求権を放棄することができず、また仮にそれを放棄しても、それは無効であるから、相手方の扶養請求権放棄の要求は、不当である。

以上の次第であるから、相手方は、申立人が相手方の子であることを無条件で認知しなければならないものである。それで主文のとおり審判する。

(家事審判官 吉田彰)

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